濱音ヒストリー その1
横浜駅西口、相鉄ジョイナス前。
そこには、以前になく大きな「人の輪」があった。
駅前では毎週金曜、土曜、日曜と、毎週の曜日を決めて、路上ライブに挑戦する若いミュージシャンやパフォーマー、そしてそれを囲む温かなオーディエンスたちで溢れかえっていた。
さながら毎週開催の、祭。
想いを歌に乗せて夜空に放つ歌い手。放つ勇気。受け入れてもらえた嬉しさ。
まだCDにもなっていない出来たての歌たちを覚えようと、歌い手の前にはカセット・レコーダーが並んだ。手拍子やジャンプで歌に応えた。割れんばかりの拍手、爆笑、凝視、涙。大人たちはそれを何事がはじまったのかとただ目を見張っていた。
ライブが終われば歌い手と話したり、写真を撮ったり、オーディエンス同士で語り合ったり、イベントの準備をしたり。その輪は終電まで消えない日が続いた。そこに友情が生まれ、憧れが生まれ、恋が生まれ、夢が育った。想い想いのコミュニケーション。時おり潮の香りのする夜風が吹き込む横浜の駅前には、一つの「場」ができあがっていた。
そこに生まれた、アーティスト同士のヨコのつながり。
時に競い合うライバルであり、認め合う仲間だった。
いい曲ができれば羨み、模倣し、超えようと頭を捻り、そして歌い、音を鳴らし、称え合った。
無防備で、無邪気で、無鉄砲なエネルギーと、深い愛情に満ち溢れていた。
そんな風にしていつしか、
横浜のミュージシャンたちはこの熱を「形」にできないか、模索するようになる。
1999年から2000年にかけての話である。
つづく。
開催まであと28日。
by hamaoto
| 2007-11-02 02:03
| ◆濱音ヒストリー◆