濱音ヒストリー その17
雨は嫌いだ。
「今日は雨が降ってるし、ライブいくのやめよう」
たったそれだけのことかもしれない。
でも、ミュージシャンが繰り返し練習した歌を、
頭抱えてようやく完成した新曲を、
伝えたい重要なお知らせを、
雨が降ったせいで少しのお客さんにしか届けることができないなんてあんまりである。
当然のことながら、路上ライブは雨との戦いであった。
ギターケースと売るCDと荷物と、さらに傘を持つというのがまずそもそも困難である。
濡れたら楽器が傷むし(湿気だけでもかなりまずい)、服も考えなきゃいけないし、ライブもファンが濡れないように考えなきゃいけないし、当然通行人は水しぶきをはじきあげながら足早に通り過ぎてしまうし、踏んだり蹴ったりである。逆境を楽しむ強い精神力が備わっているかが試される、試練の日といっても過言ではなかった。
時は梅雨。
雨に困らずライブができたらどんなに素敵だろう。
相鉄ジョイナスの4Fに「自然の広場」という場所があった(現在は新星堂横浜ジョイナス店の店舗)。大きなガラス窓があって、そこから横浜駅前を俯瞰できる。当時は普段休憩所としてグリーンのカーペットに椅子が並べてあり居心地がいい。イベントや展示会があるときはその会場となっていることもあった。
ひらめいたTAKUは企画書を片手に、「濱音」に協賛してくれた相鉄エージェンシーのドアをたたいた。
「この場所で歌わせてもらえませんか!」
雨を気にせず、歌を楽しめるイベント「雨音~雨楽祭~」の開催である。
しかし、ここでもまさかの展開が待ち受けていた。
つづく。
開催まであと12日。
by hamaoto
| 2007-11-18 03:36
| ◆濱音ヒストリー◆